通信制高校の評判について

通信制高校はその数が増えて、全日制や定時制とともに高校卒業資格を取得するための選択肢の1つとして定着しています。しかしながら、通信制高校に対する評判は様々で、中には根拠の薄い風評が流布されていることも否定できません。

通信制高校の評判はどのようなものがあるのでしょうか?また、その評判と実態の齟齬についても解説します。

かつては、通信制高校と言えば全日制からドロップアウトした落ちこぼれが行くところというネガティブなイメージがあり、あまり評判は好ましいものではありませんでした。たしかに、通信制高校には、引きこもりやいじめ被害者を始め不登校や不適応の子どもたちを引き受ける駆け込み寺のような役割を担っている面があることは否定できません。

それで、通信制高校の近所の評判は芳しいものとは言えませんでした。しかしながら、登校日が少ないというメリットを生かすポジティブな動機で通信制高校を選択する生徒も徐々に増えつつあります。それは、毎日働きながら高校卒業資格を取りたいという生徒だけではありません。

たとえば、バレエやダンスなどの芸能・ピアノや歌唱などの音楽・フィギュアスケートや水泳などのスポーツといった特殊な分野でプロとして活躍を目指す生徒が、日々の練習や訓練の合間に勉強して高校卒業の資格を取りたいと考えた場合には、通信制高校が最適の選択となるのです。

中には芸能コースという特別なクラスを設けている通信制高校もあります。このように多様な動機目的の生徒が集まるようになった結果、通信制高校のイメージもかなり変わってきたと言えるでしょう。

通信制とはいっても、週3回ほど通う通学コースもあります。希望すれば毎日通学することも認められています。通学コースは教師や同級生との交流も盛んで、人間関係で挫折した生徒が救済される場として非常に評判が良いと言えるでしょう。

逆にネット配信授業の通信制高校では、登校日が年に数回というところもあります。こうした高校は全国どこであっても在宅のまま学べるので、人間関係が苦手な生徒には勉強しやすい環境と言えるかもしれません。いずれにしても、高校とは言え中学の学習内容の復習からきちんと教えてくれるので、基礎からやり直そうという意思のある生徒にも好評です。

ただし、大学進学のための入試対策まで万全とは言えないため、通信制高校卒業後に大学進学を目指す生徒は別途予備校等の補習に参加する必要があるでしょう。大学進学という視点では、通信制高校はあまり評判が良いとは言えません。

また、生徒の自由度が高い分自主性が求められるので、自ら進んで真面目に取り組む姿勢がなければ、単位が取れず卒業が困難になります。この点では、全日制より卒業認定が厳しいという評判です。

通信制高校にも公立と私立があり、そのどちらかによって多少評判も異なります。もちろん、公立高校は転勤で他の全日制高校や定時制高校から赴任してきた教員が多く勤務しているので、通信教育のプロが関わっているとまでは言えません。

しかし、私立と同様に少人数制であるため、面倒見が良く親身になって相談に乗ってくれるという評判です。カウンセリングや不登校生徒のサポートがしっかりしていて、困ったことがあれば教師に相談して解決できます。授業も基礎からじっくりと教えてくれるので、とてもわかりやすいと好評です。

通信制高校を卒業したら、どんな進路へ進んでいるのでしょうか?卒業生の6割は就職したり大学などへ進学したりしています。つまり、卒業生の4割は就職も進学もしていません。したがって、通信制高校を卒業しても就職や進学は難しいという評判が定着しています。

通信制高校への求人や大学推薦を期待するのは難しいのかもしれません。

しかし、私立であれば一部の通信制高校では大学の指定校推薦枠を持っているところもあります。今後通信制高校への進学者が増えるにしたがって、進路先も変化が現れるでしょう。

通信制高校でも、体育祭や文化祭などの年間行事が開催されるところがあります。通学コースであれば十分に準備する機会もあり、それなりに楽しめる企画となっていると好評です。修学旅行やスキー教室などもあり、生徒同士の交流を深める場となっています。

通信制高校で特徴的なのは集中スクーリングで、日頃通学の機会の少ない生徒もスクーリングでまとめて単位を取得できるほか、教師に相談したり他の生徒たちとコミュニケーションを図ることも可能となっています。さらに、部活動も盛んな通信制高校もあり、友人と趣味を共有したり体を動かしたりする機会に恵まれない通信制高校の生徒には大変好評です。

通信制高校も需要が高まるにつれて徐々に行事も充実し生徒が満足できるスクールライフを送れるよう工夫されているのです。この点についてはまだ十分に周知がなされておらず、評判はこれから良くなっていくでしょう。

通信制高校の授業料や入学金について、決して安くはないという評判が一般的と言えるでしょう。もちろん公立なら年間数万円で収まります。

私立でも年数回のスクーリング以外はネット講義などでサポートされる通信制高校であればさほど費用はかかりませんが、毎日通学できる通学コースのある私立の通信制高校などは全日制と同じくらいの高額になります。私立の通信制高校でも年間の授業料が20万円以下から50万円以上と幅広く分かれているのが実情なのです。

通信制高校には、単に高校卒業資格を取るだけの課程だけでなく、先述した芸能コースのように専門コースを設けているところがあります。専門コースには福祉コースや建築コースなど様々な種類があり、生徒は希望すれば就職や進学に有利な知識やスキルを学ぶことができるのです。

通信制高校で高校卒業資格を取れても就職や進学に不利であるという評判はありますが、専門コースでは現場で役に立つ知識や技術を身に付けることができて就職にも有利であるとして大変好評となっています。たとえば、福祉コースでは介護施設に実習に出かけて実際に高齢者を相手に介護技術を学べますし、建築コースでは建築現場に赴き建築会社の仕事を体験することができます。

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